男性用便器の作品が、なぜ評価されたのか?

DRAWING ABILITY(画力)
   

こんにちは、
日本アート教育振興会 浅野です

早速ですが皆さん、
マルセル・デュシャンの
「泉」という作品をご存じですか?

現代の作品で最もと言っていいほど重要視され
名を残している作品です。

1917年に制作されたものですが、
この作品は当時、非常に物議をかもし出しました。

なぜか?

・・・

デュシャンというアーティストはなんと、

用を足すための男性用公衆便器に
自身のサイン(しかも偽名)を書いただけのものを
作品として出展したのです!

これには世間はおろか、
美術関係者も大騒ぎです。

しかし、今ではこの作品は大変評価され、
今を生きる私たちでも知っている

「芸術作品」となりました。

なぜ便器が作品に!?

そう、この問いこそ
デュシャンの狙ったものなのでしょう。

デュシャンは便器にサインをして
美術館に展示されたらどうなるの?という
自身の疑問から、

「あなたはこの作品についてどう考える?」と

《問い》

を突き付けたわけです。

そして我々は一生懸命考える。
アートとは何だろう・・・って。

「アート作品は目前にある美しい絵画」
という概念から、

「その作品を起点にして、
鑑賞者の頭の中で完成するのがアート作品だ」

とアートの概念を大きく揺さぶらせた作品だったのです。

今までの時代には存在しなかった
作品に内在する「コンセプト」
を考えるきっかけを世の中に与えたのが

この「泉」という作品でした。

こう考えると、なおこの作品の歴史的重要さが
分かりますね。

******

今回はデュシャンについてご紹介しましたが、

教科書に載っていたり
時代に名を遺すアーティストは

その時代までに行っていない
画法や形で作品を打ち出し

新しいものを世に送ったため
今でもなお、その名が残っています。

そのためには世の中・歴史を把握していないと
新しい作品というのは生まれません。

それは思想であっても
作品そのものであっても・・・。

誰かに似ていたり
世の中のどこかに既に存在しているものでは
いけないのです。

私は科学の研究なんかと同じだな、と思っています。

私の恩師であるアーティストは
美術史はもちろんのこと、
人類学や、教育、美学、哲学など
様々な知識を持っていました。

今までの人の営みをいかに自分の中に吸収し、
今自分だからこそできることを
常に探しているのです。

アーティストが新しいものを出し
名を残していくか、
いかにオリジナリティを出すかは

歴史的な文脈の知識や、自身の経験を
いかに積んでおくかにかかっているのです。

そして、今生きているこの世界を俯瞰して
自分なりの解を見つけていくのです。

まさに温故知新ですね。

アーティストがただ
自分の思っただけの絵を描く存在であれば、

昨今の「アート思考」という考えも
生まれなかったでしょう。

また、現代を生きるにあたって
アートだけでなく、
その他さまざまな分野
この考えは必要だと思っています。

「なんであんな作品が評価されるのか!」
「私にも簡単に作れるのに!!」

と思ったこと、あるかと思います

そういった作品の本質は、
作者の思考プロセスそのものなのです。

今までにないものを考え、その時代に生み出した
その作品が生まれる過程にあるのです。

誰も今まで行わなかったことを行ったわけですから

「アーティストの考えはやっぱりわからないな」

と皆が思うのです。

それでいいのです。
分からない分、私たちは知る必要があるのです。

なので、有名な作品を今後見る機会がありましたら
今回お話したことをちょっと頭の片隅に置いて
鑑賞してみてくださいね。

そして、
私もコーチとして登壇しております

「アートマインド画力」

絵を描くための基礎的な技術やマインド
はもちろんのこと

それと同時に、

アーティストの作品や考えを
知識として培う
「アートマインドツアー」
を行っております。

絵の描き方とアート作品の知識を
いっぺんに吸収できる
講座となっておりますので

ご興味のある方はこちらより
無料体験会へご参加くださいませ^^
https://lesson-press.com/amgonline-trial-001

今回も最後まで読んでいただき
ありがとうございました!

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◆ご質問コーナー

前回の記事でご質問がありました!

「顔をダビデ像の彫刻のように立体的に描くには、
パース的には、3点透視図法を意識すべきでしょうか?」

→ご質問ありがとうございます。
そうですね。アオリやフカンを用いて
より立体的な人物を描く場合は
3点透視図法の意識は大切だと思います!

人物を描く前に
どこから見たら立体感がより出るかなと
はじめに決めておくのもお勧めです。

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いつもご感想拝読しています、ありがとうございます!

それでは、また次回お会いしましょう。

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*今日の記事を描いた人*

Profile 浅野朱音(Asano Akane)

岐阜県生まれ。

愛知県立芸術大学 美術学部 彫刻専攻 学部卒業
同大学、美術研究科 彫刻領域 1年間在籍

「当たり前を疑え!」を教訓に毎日を過ごしている。

立体作品・平面作品どちらも好き。
最近は出身である愛知県芸の卒業制作展へ
同期や後輩の作品を見に行った。

相変わらず観葉植物にハマっている。
早く暖かくなって植物がすくすくと
育ってほしいと待ち望む日々。

レッスンプレス チーム

「確かな成長と、人生を変える学びを。」という信念のもと、アート啓蒙活動を行う一般社団法人 日本アート教育振興会のアートメディアチーム。 アートスキルを身につ...

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