何故?エリザベス・ペイトンの作品は小さくても高額か

From:杉田陽平
原美術館での個展も記憶に新しいエリザベス・ペイトンさんですが、
あんなに小ぶりでサラッとしているのに46cm位で9000万円もするんですよね。
水彩をスピーディーに描く事でも有名です。
日本で同じ事してても
「若いんだからもっと大きなキャンバスに書きなさい」とか、
「デッサンが狂ってる」とか、
「もっとよく見て頭蓋骨とか筋肉を勉強しなさい」とか、
「本物見ないで描かず写真やら雑誌みて描くなんて薄っぺらい、ちゃんと許可取ってるのか」とか
山程突っ込まれそうですよね。
最近だと羽生君のスケートしてるポートレートを描いてましたよね。
アレはテレビか雑誌かネットから拾って描いたんだと思います。
当然本物を見て描いてるわけでありませんが、
絵としてはまるで宝石のように美しいリアリティーを放っています。
彼女のアートにおいての一番の功績は、
作品がとても小さく、
画材も例えば水彩、色鉛筆など時には使い、
油絵であっても水彩画のように薄描きであったり
どれをとってもとても「気軽」で「カジュアル」だという点だと思います。
だれもかれもアートは、
「上手じゃないとダメなんだ」とか、
「パンクじゃないと」とか、
「スケールが大きくないと」とか
無意識のルールに縛られていたりします。
そのルールを優しく大胆に解きほぐしたのが彼女でしょう。
今でこそ世界でも有数の人気画家ではありますが、
学生時代は、今のような有名人のポートレートを小さな紙に描いた作品群を教授にみせたら、映画館の看板絵描きを勧められたんだそうです。
私であれば、心が折れそうですが、宝石のような絵画を生む秘訣はもしかしたら、そういった人間の思い込みに対するスピリットなのかもしれませんね。
自分にとって愛着のあるモチーフを探し、肩の力を抜いて線を引き、リズミカルに色を塗っていく。
形が歪んでも即興を楽しむ気持ちで良しとする。
こんな気持ちで水彩に向き合うと思わず壁に飾りたくなる素敵な作品が出来ると思いますよ。
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