サイバーパンク朗読劇「RAYZ OF LIGHT//VIRAL」 春日康徳(脚本家)× 吉田武寛(演出家)スペシャル対談

INTERVIEW(インタビュー)

去る2017年11月、東京、神戸にて上演されたサイバーパンク朗読劇「RAYZ OF LIGHT//VIRAL」。
壮大なスケールの物語と、旬の俳優たちによる魅力的なキャラクター、そして音響や照明を駆使した華やかでダイナミックな演出で多くの観客を魅了した。その、脚本と演出を担当したお二人に公演の舞台裏、そしてこれからのメディアミックス展開について、お話をうかがった。

構成・インタビュー:浅井貴仁(ヱディットリアル舎)
写真:沖杉知子、平﨑はる香

■壮大な物語をスピーディーでダイナミックに演出

――朗読劇として今回上演された「RAYZ OF LIGHT//VIRAL」は続編となりますが、そもそもこのプロジェクトに参加されたきっかけを教えてください。

春日: 私の場合は初演のときに運営のワンモアさんから「脚本をお願いします」と依頼がありまして。朗読劇の脚本をお引き受けしたんですが、運営もこうしたコンテンツを作るということに挑戦するのははじめてのことで、演出家が必要だということに、やる段になって気づいたんです。すごく直前にお願いしましたよね?

吉田: まあまあ直前でしたね(笑)。

春日: 柔軟に動いてくれる演出家の方がいないかと探している中で吉田さんが手を上げてくださったんです。

吉田: 運営のワンモアさんに、僕の作品を見たことがある人がいて、それで声を掛けていただきました。

春日: 直前だったのにありがとうございました。その後ですが、今回の続編を作る前に、吉田さんから「僕が演出をしている舞台をぜひ見てください」とお誘いを受けて見に行ったんです。そうしたら、すごく壮大なお話を、スピーディーに演出されていて驚きました。僕はアニメーションの脚本出身なのですが、アニメの場合はシーンが増えるごとに設定資料が必要なので、「設定資料を増やさないために極力シチュエーションを限定して脚本を書け」と言われるんです。そのため、初演のときは、探偵事務所だけの話でした。舞台を見て、これは次回公演をやるとしたら場面がガンガン切り替わるような、スピーディーで壮大な話を、ぜひ吉田さんに演出してほしいなと思い、今回は吉田演出を想定した上で脚本を書きました。

――そのストーリーですが、「RAYZ OF LIGHT」はAIが活躍するような近未来が舞台の探偵物。しかも「着る広告」という身に付けられる広告が流行した社会で「広告探偵」が活躍するというものです。こういったアイデアはどこから生まれていったのですか?

春日: 僕、普段から楽をして稼ぎたいなと思っているんです(笑)。それで、あるアニメの脚本の印税が入ってきたので、契約書の更新に、交通費1000円くらいかけて行ったら、なんと印税が54円! そのときに「チクショー」と思って、広告を着るだけで簡単に儲けられないかなという僕の願いからこのアイデアが生まれました。だから「RAYZ OF LIGHT//VIRAL」を見ていただくとわかるんですけど、ありとあらゆるキャラクターが金、金、金と言っているんです(笑)。

吉田: そうだったんですね(笑)。

春日: でも、楽をして稼ぎたいといいましたが、この作品を作るのは大変な思いをしています(笑)。

――吉田さんはその脚本を演出するにあたって、気をつけたところはありますか?

吉田: 前作よりも壮大で、「劇場版」という感じの内容になっていたので、音楽を一新して、演出も活力があって、スピーディーでかつキャストさんの魅力が活きるように意識しました。朗読劇ではあるんですけど、結構スペクタクルなシーンが多かったので、キャストさんにたくさん動いてもらうアクティブさを重視しました。あと映画館での上演で、上手側に階段があるので、その空間がなんとかうまく使えないものかなと思って、工夫しました。

春日: 演出でいうと、初演のときですが、光が印象深かったです。脚本で「レーザーが交錯した」とか、「照明がホワイトアウトして天国のような世界が広がる」とか無責任なト書きを書いたんですけど、その意図を汲み取って、レーザーのように見えるような演出を工夫してやってくださっています。今回の公演でも、パトカーが来るシーンやハッキングを受けているシーンなどで、朗読劇なんだけど臨場感が伝わるような演出がすばらしくて。もう本当に信頼していますね。

吉田: 反対に、脚本で僕が一番印象的だったのは、修正依頼を出すと、ものすごいスピードで返ってくることです。ちょっとお願いすると、その夜にはものすごい量が、求めている以上の作り込み方で返ってくるので、アイデア量が半端ないと思いますね。設定がものすごく細かくてキャラクター造形が上手い。魅力的で、かつ今回は笑いもあって、本当に愛されるキャラクターを作れる脚本家さんだなと思います。

春日: ただ欠点があって、拙速っていうやつで誤字脱字が多いです(笑)。

吉田: そうでもないですよ(笑)。

春日: あと、僕は難しい言葉を使いがちなんですけど、朗読劇で音として聞くと、「え? それどういう意味?」と理解しにくい言葉があるじゃないですか。そういうのを分かりやすい言葉に置き換えて演出してくれるのが助かります。

吉田: 極力変えないようにはしているんですけどね。あと、結構役者さんのアドリブで変わっていくところもあります。


■今後も様々なメディアで展開する「RAYZ OF LIGHT」の世界

――「2.5次元」という言葉もありますが、今作は衣装なども通常の朗読劇とは違い、アニメ的で凝っていますね。これも意識して注文したのですか?

春日: 例えば佐々木というキャラクターは、今回は「刀とマントと軍服で」と発注をさせていただいています。私はアニメビジネスの講師もしているのですが、売れるフィギュアにあるお約束を取り入れています。売れるフィギュアとはどういうものかというと、「飾りたくなる」もので、飾りたくなるものは空間を埋められるフィギュアなんです。ただキャラクターが立っているよりも、武器を持っていた方が空間を埋められますよね。なおかつ、佐々木のようにマントなどはためくものがあるとより空間が埋められます。そして、階段を降りるシーンでマントがバサッとなるとかっこいいわけです。衣装と演出とアニメビジネスを絡めたキャラクター造詣を意識しています。

――そして今後は舞台だけでなく、小説やコミックスなど様々な展開が行われる予定だそうですね。

春日: ひとつのコンテンツを盛り上げていくときに、他にもコミック版もあるよ、小説版もあるよ、舞台版もあるよ、と様々なジャンルの作品を展開することをメディアミックス戦略といいます。朗読劇だけで公開される設定があったり、ライトノベルで語られるエピソードがあったりして、全部の作品を見るとより深く作品のことが分かるというと、集めたくなるじゃないですか。そうやって世界観を広げることによって、コンテンツとしても成長していくので、どんどんスピンオフなど展開させていきたいです。

――「RAYZ OF LIGHT」世界の中の一つとして、今回の朗読劇があるんですね。

春日: そうですね。作品のロゴマークが象徴的なんですが、のれん分けみたいに作品に応じてロゴも展開していきます。

――今後はどのような展開を構想しているのですか?

春日: ここまで「RAYZ OF LIGHT」の世界観が大きくなってきたので、次は舞台版とかミュージカル版に挑戦できればと思います。吉田さんはミュージカル演出とかどう?

吉田: ぜひ。ミュージカル化したいなという話は実はしていますよね。ミュージカルは曲が付くから大変ですが、今度はその曲を収録したCDができるかもしれませんね。

――最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

春日: 前回公演した作品はTSUTAYAさんで映像配信しています。今回の作品も今後、通販やDVD販売を予定しています。ぜひキャラクターや世界観きっかけで、あるいは俳優さんきっかけで気になったという方がいらっしゃいましたら、映像作品もご覧いただいて、続編公演に実際に足を運んでください。舞台は生ものなので、生で見ていただいた方が面白いと思います。ぜひよろしくお願いします。

吉田: 今回は朗読劇でしたけど、それこそ舞台化など、これからまだまだ「RAYZ OF LIGHT」の作品は作られていくので、ここから続いていく「RAYZ OF LIGHT」の世界を楽しんでいただけたらなという風に思います。ありがとうございました。


サイバーパンク朗読劇「RAYZ OF LIGHT」とは

西暦2025年。ウェアブルデバイスの発展が〈広告〉と〈ファッション〉のクロスメディアを促し、若者たちは〈広告〉を着るだけで広告収入が得られる時代を舞台に、原宿で広告トラブル専門の「広告探偵業」を営むLAW(ラウ)が活躍する探偵ストーリの待望の続編。クラウドファンディングを利用した衣装製作プロジェクトや、ライトノベル、コミック化などのメディアミックス展開でも話題に。

春日康徳
プロダクションIGにて神山健治監督に師事。押井守・神山健治監督の制作スタジオで文芸スタッフとしてノベライズ作品を手がけ、現在はフリー。主な作品に 『東のエデン』『009 RE:CYBORG』『タチコマな日々(特別版)』(以上、脚本参加)、『ブラックジャックによろしく DYSTOPIA311』『タワー・オブ・アイオン』『攻殻機動隊 STANDALONE COMPLEX SECTION-9』

吉田武寛
ダンス・アクション・照明・音響・映像などを駆使した華やかでダイナミックな演出に定評があり、美しく幻想的な世界構築を得意とする。代表作 MONKEY MAJIK『Headlight』とのコラボレーション朗読劇お笑いコンビ「チュートリアル」「チーモンチョーチュウ」結成話の朗読劇化Mixi ゲーム「輪華ネーション」のアクトリーディング舞台「輪華ネーション~はじまの章~」(池袋サンシャインシティ噴水広場)

構成・インタビュー:浅井貴仁(ヱディットリアル舎)
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