Special column「アート×デザイン」
DDTN(どっかのだれかのとんでもないなにか。)
第2回「グラフィックデザイナー、国立近代美術館工芸館へ行く」
日本デザインセンターでアートディレクター、グラフィックデザイナーを務める荒井康豪さんに、アートやデザインにまつわる話を語っていただきます。第2回目は自身が手がけたお仕事のお話です。
筆者は「とんでもないなにか」愛好家である。
そして言うまでもないが、筆者は美術館が好きだ。さらに、美術館の仕事はもっと好きである。こんな感じで、声高に言いまくっていたら思わぬところから仕事が転がりこんできた。それは東京国立近代美術館工芸館のリーフレット制作の依頼であった。
連載2回目にして、早速の告知である。前回は7年前のネタ、そして今回は仕事の話と、ネタをしぼり出している感がハンパないが、そうではない。普段、筆者がどんな仕事をしているのかフワッとしたまま来てしまった感じがあったので、ここで触れておきたい。
話を戻すが、国立近代美術館本館は、竹橋の毎日新聞社本社のすぐ近くにあるアレである。ご存知の方も多いと思う。しかし「工芸館??」と皆さん、一気に頭の中で迷子になりつつあるのではないだろうか。工芸館とは、国立近代美術館から竹橋駅と逆方向に300mほど離れたところにある知る人ぞ知る、お寺なら山のずーっと頂の方にある修行僧しか行かない本堂のような、もっとカジュアルな言い方をすれば、あまり人に教えたくない隠れ家レストランのような美術館である。
東京のど真ん中にありながら、鬱蒼とした木々に囲まれたレンガ造りの建物で、もとは明治時代に建てられた陸軍の所有物である。それゆえ、時代の流れもあって一時は取り壊しの計画もあったのだが、その建築的価値から結局は手を出せなかったようである。今は重要文化財に指定されている。
所蔵品については、スペースの関係上、1度の企画展で見られるのが100〜200点ほどだが、コレクション数は国内随一である。工芸にはグラフィックデザインも含まれるため、筆者とは一番近い存在なのだが、恥ずかしながら、今まで工芸とあまり積極的に向き合う機会はなかった。
工芸とは本質的なものの追求であって、無駄がないのでは? ということは、もしかしたら若干退屈では? と勝手に思い込んでいたのだ。しかし、それは全くの誤解であった。本質を追求しすぎて、とんでもないものもあれば、ふつうに展示場所が違えば現代アートと並んでも遜色ないものもある。
打ち合わせの時に何度か訪れた企画展で印象に残っているのは、
長尾紀寿《祀−牛玉寶印神木争奪》→日本にもあったのかプリミティブアート!!
深見陶治 《屹》→文字通りトンガリ過ぎ!!
(※筆者の全くの主観であり、第一声)
肝心の依頼されたリーフレット、フォトグラファーの砺波周平さんの功績によるところが大きいのだが、制作側としては結構いいものができたのではと思っている。ちなみに館の営業、年始は1月2日からなので、初詣した後、行き先を告げずに恋人を連れて行ってドヤるのもいいのでは。
置いてあるリーフレットを片手に。
東京国立近代美術館工芸館
http://www.momat.go.jp/CG/cg.html
年始の営業は1月2日から(毎週月曜日休館)
(Profile)
荒井康豪
アートディレクター/グラフィックデザイナー。1974年東京都生まれ。
2003年より日本デザインセンター在籍。主に企業のブランド構築のためのクリエイティブを展開。
平行して実験的なグラフィック作品の制作、発表もおこなう。
ONE SHOW DESIGN金賞・銀賞、D&AD NOMINATION、ニューヨークADC銀賞など。
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