【成瀬功のフォトレッスン〜初級編④】ズームレンズを使いこなそう!
皆さんこんにちは。成瀬です。
昨今のレンズ交換式カメラにセットでついてくる、いわゆるレンズキット、というものは、ほぼ例外無くズームレンズのセットです。今回はこのズームレンズの活用方法についてお話ししてみましょう。
まず、一般的についてくるズームレンズは、35mmカメラ換算で広角28mm程度から準標準55mmくらいまでのものと、それから100mmくらいまでの望遠側のズームレンズでしょう。
ズームレンズがどうこうという話は後にして、ズームレンズを使う際に陥りやすい失敗とは、被写体を見つけて、その場に立ったままズームを調整して画面を作ることです。このどこが失敗かというと、レンズの焦点距離によって、背景の写り方、ボケ方が変わってくるので、意図的に背景を活かしたいと思ったらズームをグリグリしてもダメなんです。
簡単に言いますと、広角だと背景が広く入り、画面の広がりや奥行き感が表現できます。一方で標準〜望遠側になりますと、背景に入る範囲は狭くなり、そのかわり余計なものをボカしてしまったり画面から排除して、被写体をグッと引き立てられるような画面が作れます。そして、できればその中間にある焦点距離は使わずに、ズームレンズの両端だけを使って、あとは自分の足で動いて画面を作るようにしたら良いでしょう。
要は、ズームレンズ一本で単焦点レンズ2本が使える、と割り切ってしまうことです。
ズームレンズは一見便利に見えますが、使いこなすのは実は簡単ではありません。できることなら、キットのズームレンズよりも、自分の好みに合った焦点距離の単焦点レンズを数本用意しておくのが好ましいかと思います。
加えていうと、ズームレンズはその特性上、短焦点レンズよりも多くのレンズを内包しています。すなわち、イメージセンサーに届くまでの光が、それだけ多くのレンズを通過してくるので、情報が劣化しやすいのです。簡単に言うと、高価なズームレンズは別としても、一般的にレンズキットについてくるレンズは画質が荒れやすい、と言い切ってしまっても良いと思います。
ちなみに筆者はズームレンズは一切使いません。時には、今日は○○mmで行こう、と決めてしまって、ほかにレンズを持たずに撮影に出ることもあります。腹をくくって決めた焦点距離のレンズで表現できることに集中するほうが、ズームレンズを数本持つよりもはるかに扱いやすいのです。
今回例に使った写真は、筆者の事務所から見える明け方の風景を21mmレンズで撮ったものです。街の広がり、空の広がりが効果的に表現できている写真と言うことができます。
ズームレンズは扱いづらい。ご理解いただけましたでしょうか? 2本の単焦点レンズと割り切って使ってみましょう。
それでは、また次回まで。
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