文字は書くけど、絵は描かない?

LBERAL ARTS(芸術教養)

From:三尾洋介

大人になると、画家でもないかぎり、
めっきり絵を描かなくなります。

普段、文章は仕事をしていると驚くほど読んだり、書いたりしています。
ですが、絵はへたすると何十年と描かない。

生活の中には全く必要がないものとして捉えていたりします。

どうやら私たち大人は、
文字と絵は別ものだとおもっている事が多いようです。
僕もそう思っていました。

ですが、歴史をひもといてみると、
日本では、文字も絵もデザインされた
同じものくらいに捉えてたみたいです。

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文字と絵は、もともとは別のものです。
特に西洋では、文字の世界と絵の世界は、全く別物だという考えがある。

しかし日本では、わりに昔からつながっていた。

子供の遊びの中で「文字絵」というのがあります。
「へのへのもへじ」などがそれですね。
「日本人にとって美しさとは何か 高階秀爾」より

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文字の世界と絵の世界が別ものという考え方は
どうやら西洋から輸入しちゃった感覚のようですね。

日本では、形のうえでは文字と絵、歌と絵画は別ものですが、
実はその両方に、すべての日本人の表現に共通する美意識があるのだそうです。

そういえば、子供の時、
「へのへのもへじ」のような「文字絵」を描きましたね。

きっと、ほとんどの人が描いたことがあると思います。
大人になった今、今度は
「文字絵」ではなく「絵文字」を多用していますね。

メールでもにっこりマークをつけたり、涙の顔文字をつけたりします。

うちのスタッフもチャットワークというチャットサービスをつかっていますが、絵文字を多用します。

LINEのスタンプもそう。
LINEスタンプにいたっては、文字はなくスタンプだけの時もあります。

これは、外国ではちょっと見られない現象みたいです。
日本人はこんなにも「絵」を自然と使っているし、
子供の頃からなじんできました。

絵と生活が密接です。
昔は詩をかくとき、日本人は行頭を紙の上にかいたり、下に書いたりして、
文字をデザインとしてとらえていたそうです。

葛飾北斎の六歌仙図「喜撰法師」でもそういったデザインがされ、
それに加え、文字でお坊さんを描いたりもしていました。

昔の日本人は、手紙をかくときもそうやって遊びごころがあったみたいです。

外国では、詩をかくときには行頭をきちんとそろえるようで、
文章の位置が上がったり下がったりはしないそうです。
こうやって相対化してみると、日本人には独自の美意識があり、
行動様式として絵が好きだということが分かります。
こうやって歴史の流れを知ると、日本人のわたしたちにとって、絵を描いたり使うことが生活にあるというのは、自然のことのような気がします。

歴史的にみても、わたしたち日本人は、絵が好きなはず。

文字と同じくらい、絵をかいてみると生活に何か違った感覚をえられるかもしれません。

うまいとか、へたとかではなく、
楽しいとか、表現として気持ちを絵で伝えたいとか、

そういった内側から出る自分の喜びのために描いてみると、
ルーチン化したいつもの生活が意外性のある楽しさで彩れるのではないかと思います。

まずは、ためしに遊びごころをもって、手帳の端にでも落書きを描いてみてください。

もしかするとその落書きから、あなたの眠っていた才能が開きはじめるかもしれません。
あなたはもしかしたら世界で注目される才能をもっているかもしれない。

遅咲きだった葛飾北斎のように。

三尾洋介

1977年生まれ、飛騨高山出身。一般社団法人日本アート教育振興会代表。 人々が自由になるための学習環境デザイン、研究をしている。 また、アート・文化と感情を...

プロフィール

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