【アート編〜名作から写真を読む①】アンセル・アダムズ

PHOTOGRAPH(写真)

皆さんこんにちは。成瀬です。

写真のノウハウだけでは写真は上達しません。先人、もしくは活躍中の写真家の、優れた写真をできるだけ多く見て、それを読み解くことが上達の必須条件になっています。これを、「写真を読む」とも表現されます。

というわけで、「アート編」としまして、私の独断と偏見で選び抜いた写真家とその作品について、語る機会を得ることをお許しください。そして第一回の今回は、日本でもファンの多い、アンセル・アダムズについて語ってみようと思います。

アンセル・アダムズがどういう人間で、どのような功績を残したかは、Wikipediaで簡単ながらまとまっていますので、そちらをご参考いただければ十分です。それよりも重要なのは、彼の写真を、写真家としての彼を、どう読み解くかです。

まず、彼ほど写真技術を体系的に整理し、科学的に取り組んだ写真家は少ないと言えます。それは、彼の時代にデジタルがなかったというのもありますが、フィルム写真において必要な科学知識に対して非常に貪欲に、かつ極めて真摯に取り組んでいます。その結果は、彼が生み出した写真技法「ゾーンシステム」に集約されていますが、これは写真熟練者でも会得が難しい、とても高度な技法です。

技法も重要ですが、彼の徹底した構図作り、露出の決定、プリントへのこだわりには、デジタル謳歌の現在でも学ぶところが多いです。例えば、ある時彼は国立公園である風景に取り組み、見事な写真を生み出しましたが、彼はそれを潔しとせず、ネガを捨ててしまったと言います。その理由は、「雲の形が完璧ではない」というものでした。そういう人智の及ばぬ領域にまで完璧を求める彼の姿勢は、現在でも学ぶべき非常に重要な要素と言えます。デジタルで簡単に写真が撮れるようになった現在こそ、彼の写真へのこだわりを知るべきではないでしょうか?

また、彼の逸話の中からもう1つ。彼は撮影したネガは即座に現像し、プリントすることを信条としていました。「ネガは音符、プリントは演奏」という言葉を残した通り、写真を撮って満足は決してしなかったのです。そして、国立公園に泊まり込んでの撮影が多かった彼は、その信条を実行するために、引っ越し用のトラックを借りて、そこに暗室機材を詰め込んで、国立公園内においても、即座に現像・プリントできる環境を持ち込んでいたといいます。

現在でいうなら、デジタルで撮影した写真を即座にパソコンに取り込み、その場で現像処理を行い、プリンターで印刷する、といった感じでしょうか。実際、写真とはフィルムとデジタルの違いにかかわらず、プリントされて初めて作品となるというのが常識になっていることにも裏づけられます。

長くなりましたが、アンセル・アダムズの写真を「凡庸」とか「退屈」とかいう輩の意見がいかに表層的で真実に遠いものであることがお分かりいただけたと思います。皆さんも写真に取り組む以上は、一切の妥協を許さず、己の美意識に忠実に従って、自分なりの「完璧」を追い求めてみるのも写真の道のひとつかと思います。

それでは、また次回の機会まで。

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成瀬功

写真作家・一社)日本アート教育振興会 Art life press フォトチーム所属 <Profile> 19歳で単身渡米。テキサスの州立大学に入学。芸術学...

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